ダークネス

ダークネス

 

作品紹介
ダークネス
  • 2002年スペイン・アメリカ映画
  • 監督:ジャウマ・バラゲロ
  • 製作:フリオ・フェルナンデス、ブライアン・ユズナ
  • 製作総指揮:カルロス・フェルナンデス、ガイ・J・ルーサン、ボブ・ワインスタイン、ハーヴェイ・ワインスタイン
  • 出演:アンナ・パキン、レナ・オリン、イアン・グレン、ジャンカルロ・ジャンニーニ、フェレ・マルティネス、ステファン・エンキスト

<ストーリー>

40年前、スペイン郊外の森で7人の子供たちが行方不明になった。一人だけ発見された少年はその間の記憶がなく、「丸い家」や「暗闇」と言った謎のワードを呟くだけであった。 それから40年後、父親の療養の為にアメリカから父親の生まれ故郷スペインへ引っ越して来たレジーナ一家。古い家に住み始めてから弟のポールは暗闇を異常に恐れるようになり、父のマークは何かに取り憑かれたように粗暴になっていった。 家族の異変を感じたレジーナは、全てが40年前の皆既月食の日に起きた7人子供達の失踪事件と、この家に関係していることを突き止めた。そして、40年ぶりに皆既月食が起きようとしていた…。

 

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登場人物

【レジーナ一家】

アメリカからスペインの片田舎へ引っ越してきて3週間が経っている。

マーク

父。故郷がスペイン。40年前の儀式の際に生き延びた子どもの1人。神経変性疾患で雨の日に渋滞中の車内で発作を起こしていた。発作自体は10年前よく起こっていたがしばらくなかったとされる。昔は攻撃的な性格であったとされる。引っ越してきた家の電気がよく消えるため電気会社を呼んで異常がないか点検させたが、異常なしと言われガチギレしていた。ポールから階段の下の隠し部屋を知らされ、蓄音機や写真を見つけている。徐々に精神が不安定となり、被害妄想で自身の悪口が聞こえるなどと言ってキレやすくなっている。ジャガイモのカットをしながらメアリーにキレて自身の手をナイフで切っていた。また、メアリーへ壁の中に幼虫がいると言いバールで床をほじくり返していた。一旦メアリーの手配した救急隊により病院へ搬送され入院している。皆既日食の日に退院して自宅へ帰ったが、攻撃的な性格へと変貌している。ポールの顔面に痣が出来ていたためメアリーから虐待を疑われ家から出て行くよう言われていた。後半で薬を過剰摂取して発作を起こし、窒息しかけたためメスでレジーナから喉を切られて死んでいる。作中では一番闇の影響を受けていた。

引用元:https://www.youtube.com/watch?v=1us84bAJpj8

メアリー

母。看護師。喫煙家。アルベルトの病院で働いている。ポールのために色鉛筆を買ってきてあげている。引っ越して3週間が経つが誰も荷物を片付けないため愚痴をこぼしていた。レジーナに対して度々冷たい態度をとっている。ポールの体に痣ができたためアルベルトを呼んで診てもらっていた。マークから家の壁の中に幼虫がいるという発言から病状が深刻であると判断して救急隊を呼んで彼を病院への入院の手配を行っている。後半でポールの顔面が痣だらけになっていたためマークからの虐待を疑いバスルームに一時的に引きこもっていた。マークが薬を過剰摂取して発作を起こし、窒息しかけていたためメスで喉を切開しようとしたが出来ずに駆け付けたレジーナに指示を出していたがパニックになってないはずのチューブを喉に通せとなかばキレながら指示を出していた。結局、マークが死んで儀式が完了したため家が闇に覆われており、闇の中の住人が扮したレジーナとポールによりキッチンの火を消すように指示され従ったため、闇の中に取り込まれている。

引用元:https://www.youtube.com/watch?v=1us84bAJpj8

レジーナ

長女。水泳が好きで公共プールへよく泳ぎに行っている。公共プールの監視員であり友人のカルロスがいる。スペインに引っ越してきたもののアメリカでの生活に戻りたいと思っている。勘の良い女で引っ越してきた家自体が異常であるといち早く気付いている。カルロスと家の謎を突き止めるべくヴィラロボスの元へ行ったり図書館へ向かい調査をしている。当初、父マークによってポールが手にかけられて7人の子どもの儀式が完成すると思っており、主治医であるアルベルトの家へ向かい退院させないよう懇願したがカルロスからの電話でアルベルトが仲介人であったと気付いている。正体がバレたアルベルトから拘束を一時的にされたものの開放されて自宅へ帰っている。自宅へ帰ったあとは父マークが窒息しかけている状況を目撃しており、メスを持つが何も出来ない母メアリーに指示をもらい父マークの喉を切開し儀式を完了させた。終盤に母メアリーに扮した闇の住人を見破り家の窓ガラスを割って外にポールと脱出したが、偽物のカルロスの車に乗ってトンネル内の闇に取り込まれている。

引用元:https://www.youtube.com/watch?v=1us84bAJpj8

ポール

長男。小学校に入ったばかり。引っ越してきてから暗闇に怯えている。階段の下にあった隠し部屋を見つけて父マークへ知らせている。度々体に痣が出来ている(アルベルトからは気を引くために自傷していると診察されている)。スケッチブックに首を切られた子どもの絵を複数枚書いていた。暗闇の中で子供たちを見ている。後半で顔面が痣だらけになっていた。終盤にレジーナと一緒に偽物のカルロスの車に乗ってトンネル内の闇に取り込まれている。

引用元:https://www.youtube.com/watch?v=1us84bAJpj8

【その他】

アルベルト

マークの父。医師。過去に妻とは離婚している。住所は公園の裏の17号である。あまりマークの事を愛していない。レジーナらが引っ越してきた家を建てた時の仲介者でもある。当時、仲介人として子どもらが感じる闇への恐怖についての研究をしていたとされる悪魔崇拝者。メアリーからポールの痣で呼ばれて診察していた。マークの搬送された病院の主治医となっている。レジーナが自宅へマークを退院させないよう説得するための訪問があったが、自身の正体がバレたためレジーナを拘束している。自宅へ訪れたカルロスへ鎮静剤の注射を打っている。レジーナに一通りの闇についてと儀式についてを語っており、運命からは抗えないと話している。レジーナがマークを愛していると話したためなぜか拘束を解いて自宅へ向かわせている。

引用元:https://www.youtube.com/watch?v=vZciKum8cBw

ヴィラロボス

設計士。足が悪く杖で移動している。レジーナ一家が引っ越している家を設計している。レジーナにストーカー行為をしていた。レジーナらが訪れて家の話を聞きに来た際に40年前に7人の子供が失踪した事件の事を話している。レジーナらが帰る間際にポールをすぐに家から連れ出すよう忠告している。当時の家の不動産屋と仲介者が不明であると話していたが、途中で仲介者(アルベルト)の住所を探し出してカルロスへ電話で伝え現地へ向かっている最中に地下鉄の駅構内の闇に襲われている。

引用元:https://www.youtube.com/watch?v=1us84bAJpj8

カルロス

レジーナのアメリカの友人。公共プールの監視員。レジーナの家へ訪れ壁のペンキ塗りを手伝っていた。度々レジーナの相談に乗って行動を共にしている。レジーナから家について調べて欲しいと依頼があったため調べて報告している。レジーナの写真を撮って現像しているが、子どもらの写っている心霊写真を発見している。図書館で7人の子どもたちの儀式は皆既日食に行われると解釈していた。ヴィラロボスから仲介者の住所の情報提供をもらいレジーナへ連絡している。仲介者の住所からアルベルトであるとレジーナとの会話から判明して現地へ向かったが、アルベルトに鎮静剤の注射を打たれている。レジーナが自宅へ向かった後に鎮静剤の効果がきれて動けるようになったため、アルベルトから居場所を聞きレジーナの後を追って彼女の家へ向かったが闇の住人により閉じ込められている。

引用元:https://www.youtube.com/watch?v=k0P8FilAbTM


 

豆知識
ヌー

哺乳綱鯨偶蹄目ウシ科のヌー属 Connochaetes に属する動物の総称である。アフリカ大陸南部に生息する。

ハロペリドール

向精神薬。作中ではアルベルトがマークの発作の治療薬として処方していた。

トランキゾール

鎮静剤。

丸い家

ある地域では似た形が寺院の設計に使われている。また、ある種のオカルト建築にも使用されている。霊的エネルギーに命を吹き込む形であるとされる。

ウロボロス

古代魔術のシンボル。闇や永劫回帰や混沌などを意味している。

【儀式内容】

7人の子らより吐息と愛を奪い

朝が夜に変わる時

その子らの血で円を閉じよ

7人の子どもの喉を愛する者が切る

古代の医者の呼び名

大ウソつき。

 


ジャウマ・バラゲロ/監督・脚本

1968年、スペインのリュイダ生まれ。間もなく一家はバルセロナに移り住み、1991年、コミュニケーション・サイエンスの学位をとると同時に、撮影と映画の演出も学ぶ。その後、ジャーナリストとして働き、様々な映画雑誌に寄稿すると共にラジオ・オスピタルで自分の番組”La espuma de losdias”を持つ。1994年に短編映画”Alicia”、翌95年には”Dias sin luz”を発表。両作とも国内外の映画祭で賞を受ける。1999年に発表した長編デビュー作『ネイムレス 無名恐怖』は、スペインでの大ヒットの後世界各国で公開され、ブリュッセル国際ファンタスティック映画祭グランプリをはじめ、数々の映画賞を受賞した。また、この映画で彼は、米「バラエティ」誌が選ぶ”ヨーロッパ優秀映画監督10人”のひとりに選出された。ハゲ。

フリオ・フェルナンデス/製作

スペインを代表するエンタテイメント会社FILMAXグループを率いるスペイン随一の映画プロデューサー。バルセロナに本社を置く同社は、製作・配給・興行に至るまでヨーロッパだけでなく世界的にビジネスを展開している。1995年、カルメン・マウラ、エミリオ・グチェレス・カバ、ロサ・マリア・サルダ出演の”Threesome”を製作、批評家に絶賛され大ヒットした。その他ジャウマ・バラゲロ監督のデビュー作『ネイムレス 無名恐怖』や、百万人以上もの観客動員を記録したファミリー映画”Manolite Four Eyes”(99)等を製作している。フェルナンデスの発案で設立されたFILMAXグループのファンタスティック・ファクトリーは、一流の人材を集め、彼らにファンタスティック映画という分野の新たな活動の場を提供している。これまでに、ブライアン・ユズナ監督『ファウスト』(00)、ジャック・ショルダー監督『アラクニッド』(01)、スチュアート・ゴードン監督『DAGON』(01)をプロデュース。ブラッド・アンダーソン監督、クリスチャン・ベール主演の”The Machinist”(04)も手がける。

 

監督からのコメント

<プロジェクト>

ある日、面白いアイデアが浮かんだ。悪役が殺人者でもなければ悪魔やエイリアンでもない”暗闇”が悪役の映画だ。子供が暗闇を怖がるのはある種、普遍的なことだ。子供というのは暗闇を光のない状態とはとらえず物理的なものと考える。形のある黒い霊体としてとらえるんだ。それが面白いと思ったので暗闇の力をフルに生かしてホラーを撮ろうと思った。上映時間がたった2分のプロモを映画と同じ形式で撮影した。台本がないのでコンセプトとなる”暗闇”と”武器”をベースに撮り上げた。コンセプトに添い、ライター、灰皿などの小道具を用意した。プロモは雰囲気があり、漠然としていて不安をかき立てるものになった。そこでカンヌの映画市場にデモ作を出したんだが、実際とてもうまくいった。ヨーロッパやアメリカのバイヤーたちの関心を引き、ミラマックスとの関係もそこから始まった。ありきたりの映画ではないことが魅力だろう。今、振り返ってみるとすごいと思う。誰が想像できただろう。デモ作品を25人くらいで撮影した時はどうなるかもわからなかったのに。

<登場人物>

これはホラーだが俳優の存在が重要で感情や人物の対立も描いている。演技面が重要視される映画なんだ。一番苦労したのは子役を見つけることだった。子供のキャスティングは難しい。大人の俳優の起用と同時に子供たちの個々の魅力を手探りで見極めた。ステファンには驚かされることが多かった。対等な関係で接することができるからだ。あの子の理解力は驚くべきものだよ。普通の子供には理解できない大人の感情も理解しているんだ。コンセプトに基づいてキャスティングを進めたが俳優の国際性を大事な要素として考慮した。同時に監督として納得できる面々でなくてはならない。レナ・オリンは候補の一人で名前を見た瞬間ピンと来た。アンナ・パキンのことは以前から素晴らしい若手女優だと思っていた。まだ18歳だ。”ピアノ・レッスン”の時は9歳かな。ずっと注目してた。その他の俳優も同じだ。イアン・グレンは出演作を見て気に入った。そして、ジャンカルロ・ジャンニーニ、彼はヨーロッパを代表する偉大な俳優であり、アメリカでも多くの仕事をしている。

<ストーリー>

家の中にほしかったのがあの3人の老女の写真だ。あの3人は非常によく似ている。ヘカテの神話をあの家に存在させたかった。ヘカテは古代文明における闇の女神で、あんあふうに3つの顔を持つ女神として知られている。ヘカテは本にも出てくる。主人公たちが図書館で暗闇に関する本を見る。すると3つの顔の老女が描かれたページを見つける。この映画は事実に基づく要素で一杯だ。この話の基になる古代文明の神話においては多くの場合、暗闇は悪と同一視されていた。例えばウロボロス。ウロボロスは神話の像で文明と関係している。尾を噛むヘビとは常に最初に戻ることを意味する。始まりへの回帰だ。始まりはすべてが暗闇でありカオスだった。神が光を創り、光と共にすべてが現れた。ウロボロスの尾を噛むヘビは始まりへの回帰を表している。つまり暗闇への回帰を意味するんだ。映画の悪役たちも同様だ、この家族の祖父は40年前7人の仲間と儀式を行い闇に回帰しようとした。

<撮影>

このシーン(雨の中の渋滞シーン)では雨が降り200台の車が列を成している。事故による渋滞、救急車、事態を収拾しようとする警官。交通渋滞に巻き込まれ車内にいる父親と息子。傘を差して見ている野次馬たち。その場所に、それらのすべてが欲しかったんだ。偽物の現実を作り、それが機能したら、4台のカメラが最も面白い場面を取り込んでいくんだ。亡霊のような存在を演じる6人の子供との仕事はとても楽しかった。端役にすぎないが彼らの映画への関わり方は素晴らしい。誰よりも仕事熱心で彼らにとって映画は命や夢であり執念だった。学校の宿題のように演技の課題を練習してきて撮影で披露してくれる。彼らにいわゆる”亡霊顔”を練習するよう指示した。”僕を怖がらせる亡霊顔を”と。そう言うと彼らは家で何時間も亡霊顔を作る練習をする。セットに来ると、すぐ私に亡霊顔を見せようとするんだ。”少し変えよう”と言えば翌日新しい亡霊顔で現れた。

<デジタル・エフェクト>

色彩を表現するにあたってはデジタル処理の使用は控えた。デジタル処理をまったくしてないとは言わないが多用することは避けたかったんだ。使用したのは嵐が来そうな空。ベッドの下で動きながら鉛筆を転がす暗闇。廊下を動いていく暗闇もそうだ。そのような部分にだけはデジタル処理を使ったが必要だと思う部分だけにとどめたんだ。正直な話、デジタルによる特殊効果やデジタル処理には感心していないのが本当のところだ。有益な道具だとは思うけどね。

<家>

アメリカの家族が越して来るあの家は実際には存在しない。あれは作り物なんだ。気に入った土地に骨組みだけを作った。要するに正面と両側の壁だけで後ろには何もない。家の内部はスタジオのセットだ。つまり1階と2階の内部はセットで作られ、家の外部とは離れた場所にあった。家を建てたのは理由がある。実は理想とする家を何ヶ月も捜し回った。何軒か見つかったが撮影には不都合だった。そこで最も効果的な手段を使った。紙の上に設計図を描き考えてみたんだ。どれが好きかどれが理想的かをね。あの家は非常に特別な形をしている。卵の形でなきゃいけない。建築上分かりやすさも要求される。どこか不安をかもし出す家にしたかった。あの家はたった2日で建てられた。金曜の夜に建て始めて日曜の朝には完成していた。このバルセロナ郊外の家はいくつもの逸話を生んだ。週末になると、あの道路は車であふれかえる。週末を郊外で過ごす町の人々が車に乗ってあの辺を通り過ぎるんだ。日曜の午後ある空き地に急に家が建った。1日で家が出現するなんてあり得ないことなのにね。あの日曜は道路が車で一杯になった。皆、近寄りはしないが言葉を交わしてた。大論争になって車の通行に支障さえ出た。皆が議論し、あの家は何なのか知ろうとしてたんだ。

 

恐怖度

☆★★★★

<感想>

終盤の闇に取り込まれた家の中が気持ち悪いですね。何でブランコがキッチンにあったのか不明ですが、、、ややヘルレイザーっぽい。

 

 

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