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ガムブート・キトン
アメリカのノースウェスタン大学でガムブート・キトンという生物の研究発表が2021年5月にあったので紹介する。以下。
ガムブート・キトンは、全長36センチの楕円形の形の体をしており、ヒザラガイ(多板鋼)の中では最大種です。
赤褐色の体がまるでミートローフに見えることから「さすらうミートローフ(Wandering meatloaf)」という愛称で親しまれています。
これまでの研究で、ガムブート・キトンは舌のような細長い突起を持ち、そこに小さくて硬い歯がびっしりと生えていることが知られていました。
これを歯舌(radula)といいます。
食事の際は、歯舌を岩にこすりつけて、藻などを剥ぎ取って食べます。
研究チームは、この頑丈な歯の成分を特定するべく、シンクロトロン光源や透過型電子顕微鏡などのハイテク技術を用いて分析。
その結果、歯の中にサンタバーバライトが含まれていたのです。
サンタバーバライトは、2000年イタリア・トスカーナの沿岸部で発見された鉱石。
研究主任のダーク・ジョスター氏は「サンタバーバライトは含水率が高いため、密度が低くても頑丈さを保ちます。ガムブート・キトンは、これを取り込んだことで、重さを増やすことなく歯を強化できたのではないか」と指摘します。
↑こちらはガムブート・キトンの歯舌(radula)の画像で、中央の黒い部分にサンタバーバライトが含まれていました。
また、この画像は歯舌の成長過程を合成したもので、左側が成長初期、右側が成熟期に当たります。
ジョスター氏は「サンタバーバライトは、地質学的な標本でさえごく微量しか観察されたことがなく、生物の体内に見つかったのはこれが初めてです」と述べています。
今回の発見は、ガムブート・キトンの歯が超硬質な理由のほかに、岩を噛んでエサを剥ぎ取るのに耐えうる耐久性の秘密についても明らかにしています。
研究チームは今後、歯に含まれる鉱物をもとに、超硬質で耐久性の高い素材の開発を進めていく予定です。