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フロム・ビヨンド
H・P・ラヴクラフト原作の短編ホラー小説「彼方より」を基に映画化。性衝動を抑制する脳の器官である松果体を刺激する機械を発明した科学者たちのアホ映画。『死霊のしたたり』に出演していたキャストらが出ていますね。スチュアート・ゴードン監督の妻がブロック医師役で出演してますね。
<ストーリー>
科学者のプレトリアスが館(研究室)で無残な変死を遂げ、助手のクロフォードが殺人の容疑者として拘束される。 クロフォードの精神鑑定に当たることになった精神科医のマクマイケルズは、プレトリアスが人間の脳の深淵を刺激し、第六感を増幅させる実験を行なっていたことを知って興味を抱き、その実験を再開させる。 すると、時空を超越した別次元の扉が開き、プレトリアスがおぞましい異形の怪物と化して出現、たちまち研究所は地獄絵図と化す。
【研究者や医師ら】
引用元:https://www.youtube.com/watch?v=35Fzmd7SANk
引用元:https://www.youtube.com/watch?v=35Fzmd7SANk
引用元:https://www.youtube.com/watch?v=35Fzmd7SANk
引用元:https://www.youtube.com/watch?v=35Fzmd7SANk
【その他】
引用元:https://www.youtube.com/watch?v=35Fzmd7SANk
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【クリーチャー】
引用元:https://www.youtube.com/watch?v=35Fzmd7SANk
引用元:https://www.youtube.com/watch?v=35Fzmd7SANk
引用元:https://www.youtube.com/watch?v=35Fzmd7SANk
おまけ
<2012年スチュアート・ゴードン監督インタビュー>
H.P.ラヴクラフトを読み始めたのは10代の頃だ。悪夢にうなされたよ。最初に読んだのはたぶん”魔女の家の夢”だ。ベッドの下に魔女がいて別の次元に連れ去られると思った。ラヴクラフトの小説ほど恐ろしいものは他にない。子供の頃、大きく影響された。ラヴクラフトの作品は本当に独創的で時空を超えている。私の作品が現代の設定で批判する人がいるけれど、彼の作品は現代に通じると思う。今も時代を先取りした未来の話のような気がする。一番好きなのは”インマウスの影”だ。住民が皆、魚になる。この作品と”ダゴン”を合わせて脚色した作品を作った。”インマウスの影”と”ダゴン”で”DAGON”だ。他にも傑作は多い。まるで宝石箱だ。全て著作権が切れているから題材を探している映像作家がいたらラヴクラフトは要チェックだ。スティーヴン・キングも好きだから、いずれ彼の小説の映像化にも挑戦したい。”ボディ・スナッチャーズ”の脚本執筆時、彼と組めそうだった。私が協力者を選べたから彼を指名した。彼に脚本と手紙を送ると”いい脚本になっているからこのまま撮る方がいい”と最高の返事をもらった。エドガー・アラン・ポーはラヴクラフトのルーツだ。ラヴクラフトは当初ポーのスタイルをマネていた。でも2人の作風は違う。ラヴクラフトとは違ってポーはロマンティックで女性が出る。ラヴクラフトの登場人物はいつも全員男ばかりだ。昔、私はホラーを見る事を親に禁じられていた。こっそり見ていたけど。悪夢を見せたくないという親心は正しかった。ウィリアム・キャッスル監督の”ティングラー”を見た時は3年も悪夢にうなされた。あの作品のせいで寝つきが悪くなった。でも、禁断の果実のようにダメと言われると見たくなるものだ。私にはホラーだった。史上最凶のホラーは、今でもヒッチコック監督の”サイコ”だと私は思う。彼は映画の文法を全て破り30分ほどで主人公を殺した。今見ても、これはかなり過激な展開だ。彼女が殺されるのを見てさらに善人がどんどん殺され私は”これもアリか”と思った。私は舞台出身だ。舞台の魅力の1つは観客を参加させられるという事だ。実際に皆、同じ空間にいる。私は、映画でも同じ感覚を出したい。舞台と同じにはムリだけれど、舞台なら客席に降りていくのも簡単だから映画の場合は観客の想像力に働きかけられる。観客に考えさせる。何もかも見せなくていい。これは最近の作品の問題だ。CGが何でも描いてしまう。見せすぎだ。私の映画にはセックスが多すぎると言われる。ラヴクラフトの作品なのにと。私は反対だ。彼の作品にはセックスが溢れている。奇妙な性や怪物のような性だ。異次元の怪物の性。魚とのセックス。白い猿とのセックスもあった。ラヴクラフトの物語には奇妙な性や性への恐れがある。その理由は、恐らく彼の両親にある。彼らは正気ではなくそれが遺伝したと、遺伝情報には逆らえないとラヴクラフトは思っていた。いずれ異常さが表われ否応なしに怪物か、異常者になると。彼の作品で繰り返されるテーマだ。性的な要素が強く出ている。”死霊のしたたり”とこの作品は続いてはいない。本当は住人が魚になる”DAGON”を撮りたかった。でも、エンパイアのチャールズ・バンドはバカげた話だと言い他の話にしろと。結局、プロデューサーのブライアン・ユズナがラヴクラフトの7ページほどの初期の短編を見つけた。松果体を刺激する機械についての話だった。松果体を刺激された結果、普通の状態では見えない物が見えるようになる話だ。見て、聞いて、経験できる。普通はどれも分からない。とても映画的に力強いアイデアだった。問題は話が短い事だった。結局、オープニングクレジットの前で原作の話が終わり、その先はラヴクラフトの他の作品を基に独自の話を作った。リサーチは必ずやる。この時は松果体について詳しく調べた。ちなみにラヴクラフト自身はホラー作家という意識はなく科学に基づいた話を書いた。ただ彼は、とても時代の先を行きすぎた。松果体などは今も謎だらけだ。脳の中心にある器官で、これが20代になる頃に石灰化する事が分かっている。同時に光に敏感である事も。感覚器だと考えたラヴクラフトは正しかった。少なくとも体内時計のような機能があり、時差ボケなどは松果体のマヒで起きる。日の光に敏感なので時間がズレると体調もおかしくなる。それが時差ボケだ。さらに、性欲を刺激する器官の可能性が高い。この作品ではその要素を描いている。デニス・パリオとブライアン・ユズナと私で短い話を長くする方法を考えた。まず決まったのが”死霊のしたたり”のジェフリー・コムズの再起用だ。バーバラ・クランプトンも。彼女を精神科医役にして調査させる。プレトリアス博士が殺された事件の調査だ。容疑者はジェフリーが演じるクロフォード・ティリンガストだ。まず彼女は、博士達の実験が成功したのかどうか確かめる。そのために実験を再現する。その結果、博士が陥った異常な世界に引き込まれる。ちなみにプレトリアスの名は”フランケンシュタインの花嫁”。ラヴクラフトとは関係ない。ティリンガストは関係がある。とにかく、ジェフリーとバーバラの役回りを逆転させた。”死霊のしたたり”ではジェフリーが暴走し、この作品ではバーバラが暴走する。精神のバランスを失う精神科医。ジェフリーが被害者だ。役回りが完全に逆転している。私は舞台出身だから共演者の息が合うところを見せるのが好きだ。最初の作品より次の方が息が合ってくる。映画でもそれを目指した。ジェフリーとバーバラの前作での共演からこの作品へと自然に息が合うようにした。実際、その通りになってこの作品の方が息が合ってる。ラヴクラフトの小説では登場人物の大半が異常で正気の人間を出す必要がある。観客が抱く疑問を作品の中で聞く役だ。この作品で登場させたのが元フットボールの選手で今は警察官の黒人だ。ケン・フォリーにぴったりの役だった。体格がよくて運動神経もいい。穏やかな性格で地に足が着いている。それに面白い。そんな彼が観客の代表のように作品に登場する。彼には共感できるはずだ。ケンは完璧だった。プレトリアス役のテッド・ソレルとは初めてだった。初対面の印象は、どこかとても知的でありながら少しエキセントリックだ。倒錯した感じもする。彼個人ではなく。役に対する彼の解釈への印象だけど素顔のテッドは優しく穏やかな好人物だった。仕事ぶりも素晴らしかった。でもプレトリアス博士になった彼は怖かった。この博士は人間の五感だけでは満足できず、その先を執拗に追求する。刺激を求めるジャンキーのようなものだ。一般人の普通の生活では満足できなくなっている。この作品の出演者全員に言えるけれど、皆怖いもの知らずで何にでも挑戦した。誰もやりそうもない壮絶な展開を考えても皆リスクを承知でやってくれた。それこそ名優の証拠だ。でもバーバラは1つ嫌がった。松果体を噛み切るシーンだ。特殊効果のスタッフの1人が松果体を見て犬のペニスみたいだいと言った。現場では”犬のチンポ”だと呼ばれバーバラは噛むのを嫌がった。”これだけは嫌”と。そう言いつつも撮影の時は噛んでくれた。撮影はディノチッタを使った。フェリーニなどが使った有名なチネチッタではなくディノ・デ・ラウレンティスがローマ郊外に作ったスタジオだ。”ディノの町”という意味だ。ユニバーサル・スタジオに似たようなものでチネチッタよりもかなり大きいスタジオだ。楽しく仕事ができた。もっとも撮影開始が冬だったのに暖房が故障していてかなり寒い思いもした。”フロム・ビヨンド”は2月に撮影を始めた。でも、イタリアは料理がおいしいしスタッフも優秀だった。”おい”ではなく”マエストロ”と呼ばれるのもうれしかった。”ドールズ”もこの作品もディノチッタで撮ったけれど舞台はイタリアではなく屋外はほとんど撮れなかった。だから、大半のシーンをスタジオ内で撮った。家の外観はミニチュアを作って撮った。作品の終盤に出てくる家だ。実寸の4分の3のミニチュアでマサチューセッツ州セーラムの有名な魔女の家を基にした。写真しか見ていなくてもっと大きいと思っていたら後で実際に行ってみると4分の3のミニチュアが実は実寸だった。小さい家だった。窓の大きさを基準にしたらコロニアル風の時代は窓が小さかった。あの時代、ガラスが高価だったんだ。それで窓が小さいのに大きな建物を想像していた。イタリアで撮った理由はプロデューサーのチャールズ・バンドがイタリア出身だったからだ。それから、当時はアメリカよりイタリアで撮る方が安かった。イタリアに行くだけでかなり節約できた。言葉の問題は大きかったけれど、何よりもケン・フォリー演じるババが料理を作る時ミートボールシチューにした。盛り付ける時、女性の胸のような感じになる。実際の調理は妻がやって撮り始めようとしたらイタリア人スタッフの1人がトマトソースを上にかけてしまった。イタリアではかけるのが当然だった。結局、もう一度作り直した。撮影のマック・アールバーグは素晴らしかった。今のこの世界を普通に撮るだけでなく、あちら側も撮った。CGが主流になる遥か前の作品で全て現場で処理した。様々な工夫をした。照明を変化させて効果を出したりもした。舞台で頻繁に使われる調光器を使ったり、これは映画ではほとんど使われない。この作品では使った。色もそうだ。彼が選んだのは明るい紫や青など。これもヒントはラヴクラフトだ。通常、人間の眼は限られた帯域の色しか見えないが、紫外線ライトの下では普通とは違ったように見える。それで、文字通り彼は紫外線を使った。さらに折り曲げ可能な特殊な鏡を用意してそれを照明係が持ち俳優の顔に光を反射させた。それで水中にいる感じになった。面白い効果だ。マックが考え出したこの撮り方で100万ドルは節約できたと思う。松果体を通して見る光景はビデオを活用した。映画の撮影でビデオを使う事がなかった時代だ。当時、ビデオを使った映像効果を実験する友達がいてコントラストやカラーを調整して作った。サイケデリックなイメージだ。私達が撮った映像を彼に渡したら奇妙な効果を出してくれた。”松果体映像”だ。脚本を書いている時皆でこう考えた。登場する怪物はかなり大きい。プレトリアス博士を食べる。これをどう描くか。”狂気の山脈にて”という話にショゴスという怪物が登場する。ブロブのような原形質の怪物で形を変えられる。自由自在に姿を変えていく。これは”古のもの”と呼ばれる異星人の手下で、このショゴスが実行部隊。ラヴクラフトの話の中では、ショゴスは偶然知性を身につける。そして、主人に反抗して倒し、恐らくそれを吸収してしまう。ショゴスがどうやって知性を身につけたか、それで思いついた。主人を食べる事で、ショゴスは知性も吸収したと。異星人の知性を自分のものにした。”フロム・ビヨンド”ではこの考えで怪物を描いた。プレトリアスを食べて彼の知識を得たと。”食は人なり”という昔の言葉にある通りきっと…昔、人の肉を食べた種族は敵の脳を食べる事で得る物があると。敵の英知や勇気などを我がものにできると考えた。この考え方を使って”フロム・ビヨンド”を仕上げた。メイクは手が込んでいて結局、3つの会社で分業した。最も手が込んでいたのが、プレトリアスだ。ポスターにもある半分溶けたような顔と成長する腫瘍のようなものに覆われた腕だ。メイクには何時間もかかった。7時間か8時間はかかった。あのメイクをしたのは1日だけで、全て撮ってしまおうと考えた。メイクに時間がかかりすぎるしテッドには、とても不快だ。それで撮り進めていくうちもう終わりという頃になって、急にテッドがセリフを忘れるようになった。彼はセリフ覚えがよくてとても不思議だった。頭痛もするようでやっと皆、気づいた。メイクのせいだと。メイクを取ると、彼の腕は2倍くらいに腫れていた。結局、こんな分析になった。体が動かず血行が悪くなったと。動いていないと心臓の働きも悪くなる。バッキンガム宮殿の衛兵が突然倒れるのもそうだ。長時間、不動の状態になる。十字架の磔も動けない事で死ぬ。テッドに起きた事もそれだったんだと思う。メイクの下の部分の血行が悪くなり、脳の働きが落ちてテッドは死にかけた。プレトリアスのメイクはマーク・ショストラム。助手のジョン・ブレイクとこのアニマトロニクスのロボットを作った。プレトリアスの首の長い最終形態だ。私は、着ぐるみでは絶対不可能な形を求めた。マークは、このロボットを作れば完璧だと言った。首もリアルに動くと。でも、そうはならず結局 表情のアップはテッド・ソレルの顔を撮った。マークは、その必要はないと言い張っていた。アニマトロニクスだけで俳優は使わせないと。でも使った。それで他の会社に頼み似たメイクをしてテッドがプレトリアスの最後のシーンを演じた。松果体の担当はトニー・ダブリンとジョン・ノーリン。”死霊のしたたり”も彼らが担当した。ジョイスティックで動かす装置を作って。操作するためのケーブルはスキンヘッドになったジェフリーの頭に隠した。この時、問題だったのは松果体が出入りする時の動きだ。これには他の技術を使った。楽しかった事の1つがバーバラが着けるSMの衣装を買いに行った事だ。プレジャー・チェストというポルノショップで成人向けの本だけでなく様々なコスチュームがありバーバラが試着した。何ヶ月か前、バーバラと会って話したら彼女は何も覚えていなかった。実際に行ったけど、彼女は記憶を封印したんだろう。レザーの衣装は特注しないとぴったりフィットしない。あの衣装は、彼女の体を採寸して作った。この作品の審査は大変だった。”死霊のしたたり”を無審査で公開した事が嫌われて、この作品では本当に厳しかった。多くのシーンをカットさせられた。腹が立ったよ。最も不気味なシーンの1つがティリンガストがブロック医師を襲い彼女の眼球を吸い出すシーンだ。そこから脳を吸い出している。これはエジプトのミイラ作りの技術をヒントにしている。彼らは鼻から脳を引き出した。太古のエジプトにどんな吸引装置があったのか謎だけど脳を穴から吸い出すのはとにかく不気味だ。そんなシーンで彼は、眼球を吸い出しそれを吐き出す。眼球が床に落ちると眼がカメラを見る。あれは何度も撮り直した。でも審査でカットされた。ほとんど即決でカットしろと言われた。でも、あのシーンは何年か前に復元できた。MGMに権利が移った時、カットされたフィルムが入った箱が見つかった。編集者が保存してくれたんだ。”ビデオリリース用”と箱に書かれていた。素晴らしいと思った。20年行方不明だったからね。それを本編に戻せた。それもHD画質のディレクターズカットとして。他にもプレトリアスの頭が2つに割れて変身するシーンがある。口が裂けて頭が開く。あれも審査でカットされた。でも、1つだけ自主的にカットした。今も公開しているけれど、冒頭でティリンガストが共振器を動かした後、プレトリアスを呼びに行く。彼の部屋に飛び込むと若い女性が一緒で、彼女は裸で縛られいわゆるSMプレイだ。彼は女性の舌にクギを打とうとしている。彼女は泣き叫び、ティリンガストが彼女を解放する。コートを着せて逃がそうとする。当時、このシーンを見ていてMPAA(アメリカ映画協会)は確実にカットすると思って自分でカットした。でも最近では舌にピアスを着けるのは何でもない。後悔している。自主規制は二度としない。MPAAという審査機関は暴力描写は気にしていない。頭を銃で撃ち抜くとか、ナイフでメッタ刺しにするとか。問題はセックスだ。”フロム・ビヨンド”でもそうだった。性的な描写が問題になり、当時多かった不気味な怪物と絡むシーンをカットされた。MPAAには性的な過激さがタブーなんだ。頭が堅い。妻はこの作品をこう言う。”鼻をかんだ後、ティッシュを見てしまう人向けの作品”だと。そういう人なら気に入ると思う。
<スチュアート・ゴードン監督の回想>
一説によると社会が保守的になるほどホラーは過激になり人気も出る。前のホラー全盛期は80年代のレーガン政権下で、今回のブームはブッシュ政権下だ。9.11がホラー映画の復興の理由だと言う人もいる。テロの後、誰もが怖い映画を避けるようになり、コメディやロマンスが受けると言われたが実際には逆だった。今は世界が恐怖に満ちている。人々はホラー映画を見て不安を発散している。
”死霊のしたたり”の成功で映画を3本撮る事になり、撮影のためにロサンゼルスに出てきた。最初は”死霊のしたたり”の次は”DAGON”の予定だった。デニス・パリオが脚本を書いて、ブライアン・ユズナが製作する。でも、製作総指揮のチャールズ・バンドが嫌がった。人が魚になるのが許せず、狼はOKで魚はNGだと。そこでラヴクラフトの他の候補作からチャールズが選んで決まったのが”フロム・ビヨンド”だ。ただ7ページしかない話で、単純に90分の映画にできない。結局、原作をタイトル前のシーンに使ってその後の物語は全て創作した。前作の主演2人を私は気に入り再起用した。ジェフリー・コムズとバーバラ・クランプトンだ。ジェフリーはよかった。でも、バーバラは精神科医には若すぎると反対が多かった。精神科医役にしては若すぎて違和感があると。せいぜい新人医師だと。そこで”才女さん”と呼ばせて天才にした。この作品の興味深い点の1つが2人の立場が前作と逆転した点だ。ジェフリーが科学者でバーバラが犠牲者だったのが、ここでは逆転した。ケン・フォリーは”ゾンビ”で好きだった。ババ・ブラウンリー役の俳優を探していたら、誰かに推薦された。彼は本当に貴重な存在だった。現場を明るくしてくれた。本人も役と同じ性格だった。ホラーとセックスは生と死のような関係だ。原作にセックスは出てこない。でもラヴクラフトは松果体に詳しかった。1920年代としては驚きだ。今でも情報は少ない。私達もリサーチで、松果体が性衝動を制御すると分かった。そこで、松果体を刺激すると性衝動も高まる設定にした。これは汚れた作品だと思う。脚本を読んだ母は”手を洗わなきゃ”と言っていた。”ポルノを作ると思わなかった”と。色彩も毒々しい。”死霊のしたたり”は緑の粘液のイメージ。これはサイケデリックなパープル系だ。ラヴクラフトに着想を得て、人間の視覚を超えた紫外線が見える世界を表現した。MPAAに完成作を提出した時、R指定は絶対ないと言われた。”死霊のしたたり”は審査を通さず公開したから、この時は過剰に厳しくされたと思う。最も問題になったシーンはジェフリーの役が意地悪な精神科医を殺すところだ。眼窩から脳を吸い出して。3回も拒否されたから担当者と面談したら、引退した図書館司書のような女性で、彼女に言われた。”どういうつもり?””とても公開できない””引きで撮るどころかカメラがどんどん接近する”。彼女は指を振りながら私を非難した。校長室に呼び出されたような最悪の気分だった。長年、ディレクターズ・カットはなかった。ホラー・フェスティバルなどで何度も聞かれた。完全版を公開しないのかと。そこでカットした部分を捜し始めると、全て捨てたと言われた。カットしたフィルムは全てゴミ箱に捨てられて公開版のインターネガしか保存していないと。私は本当に腹が立った。長い間、永遠に失われたと信じていた。でも、2年ほど前MGMがDVD化を決めた時、話が変わった。ホラーはファンのために作る。批評家は意識しない。”死霊のしたたり”も嫌われると思った。カンヌで特別賞を獲ったのはうれしい驚きだった。でも、2本目を撮る時はジンクスが心配だった。すごい監督だと思ったのは間違いだったと言われそうで。だから、この作品の評価がよかった時は大喜びしたよ。
<カットされたシーン>
※カットされたフィルムはワークプリントという画質の悪いものしか残っていなかったが、デジタルの復元技術で見れる物へと再編集されている。
- ブロック医師がオペ室でクロフォードの額から出た松果体を手術器具で掴もうとするシーン
- クロフォードがブロック医師を襲うシーン
恐怖度
☆☆☆☆☆
<感想>
ブロック医師のいる病院で自慰してる患者最高やな!wバーバラ・クランプトンのケツも最高です。
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