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脳食いアメーバ

脳食いアメーバ

 

皆さんは「脳食いアメーバ」と呼ばれるフォーラーネグレリア(学名Naegleria fowleri)はご存じでしょうか?

アメリカでは2023年7月、このアメーバによって2人が死亡したとされている。


被害者たち

1人目の死者は7月20日、ネバダ州の保健当局により発見された。死亡したのは「若年者」で、同州の天然温泉アッシュ・スプリングスを訪問した後に亡くなったという。後に、死者は2歳の幼児だったことが明らかになっている。

2人目の死者は7月28日、ジョージア州の保健当局により発見された。同州在住の人物で、州内にある淡水の湖か池で泳いだ際に感染したとみられる。死亡した人物や感染場所の詳細は公表されていない。



フォーラーネグレリアによる症状

フォーラーネグレリアは、その通称にふさわしい恐ろしい病原体だとされる。主に温かい淡水に生息し、汚染された水が鼻から体内に入ることで感染する。まるで鼻が脳の入り口であることを知っているように振る舞い「食事」となる脳に到達するまで泳ぎ続ける。おぞましい存在である。

 

 

フォーラーネグレリアが脳に与える損傷は、原発性アメーバ性髄膜脳炎(PAM)と呼ばれる。髄膜とは、脳をラップのように包んでいる膜のこと。つまり、人の脳をビュッフェのようにむさぼるアメーバにより、脳とそれを覆う膜の広範囲に炎症が生じるのだ。

脳は生きるために必要なものだ。それが食べられてしまうPAMは、適切な治療を受けないと死につながる。ただし大きな問題は、感染に気付きにくいことにある。

このアメーバは、人の鼻や脳に入る時に「お邪魔します」などと言ったりはしない。食事の最中も、人とは違ってくちゃくちゃ音を出して噛んだり、喋ったりしない。

感染後1~9日間は自覚症状がないことがある。発熱や吐き気、嘔吐(おうと)、前頭部の痛みといった症状が出始めても、別の病気だと思って気にとめないかもしれない。人は頭痛があっても、真っ先に「脳食いアメーバかも」とは思わないものだ。アメリカ疾病対策センター(CDC)によると、感染の第1段階でPAMの診断と治療を受けられるケースはまれであるとされる。



致死率ほぼ100%

症状は、感染の第2段階になるとより顕著になる。首の硬直や、精神状態の変化、幻覚といった症状が出るほか、昏睡(こんすい)状態に陥ることもある。この頃にはすでに、脳は大きく損傷している。

だが、この段階にあっても、より一般的な細菌性髄膜炎などの病気と間違われることが多い。先にも言ったが、脳食いアメーバが真っ先に人の脳裏をよぎることはあまりない。このアメーバが実際に脳内のいたるところにいてもだ。

このように診断と治療が遅れることから、発症から18日間以内の致死率はほぼ100%となっている。1962~2022年の間にCDCに報告された症例は157件のみだが、学術誌Journal of the Pediatric Infectious Diseases Societyに発表された論文によると、アメリカで1962~2018年にPAMを発症した人のうち、生存したのはわずか4人。感染者の半数は、症状に気付いてから5日以内に死亡している。

 

このように、致死率が非常に高いため、アメーバが脳に入らないようにすることが大切である。つまり、淡水が鼻の中に入らないようにする必要がある。湖や川、温泉、末消毒の水が使われているプールに入る際には、鼻をつまんだり、鼻栓をつけたりしよう。

また、水道水を使った鼻洗浄も要注意だ。アメリカでは過去に、頻繁に鼻洗浄をしていた女性の脳に違うタイプのアメーバが入り込み、感染症を起こした事例が報告されている。

さらにもう1つの注意事項として、フォーラーネグレリアは土の中にも存在する。なので、土を鼻に詰め込むのもNGである。する奴おらんよなw

幸い、フォーラーネグレリアは、どんな地域にも存在するわけではない。このアメーバは、温かい水を好む。CDCによると、これまでの感染例の大半はアメリカ本土の南側15州で夏に起きており、うち半分以上がテキサスとフロリダの南部2州で報告されている。ただし、気候変動により気温が上昇すれば、近い将来、北側の州でも感染例が確認されるようになるかもしれない。



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