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裸のランチ

裸のランチ

 

 

ところどころにムカデが出てくる作品。ストーリー自体は終始意味不明である。クローネンバーグ監督のクリーチャーによる世界観は楽しめるかもしれない。1959年に出版されたウィリアム・バロウズの長編小説をクローネンバーグ監督が映像化した作品として知られている。

 

タイプライター

 

作中ではこのタイプライターが虫のようなクリーチャーに変身します。

 

作品紹介
裸のランチ
  • 1991年イギリス・カナダ合作映画
  • 監督:デヴィッド・クローネンバーグ
  • 製作:ジェレミー・トーマス
  • 出演:ピーター・ウェラー、ジュディ・デイヴィス、イアン・ホルム、ジュリアン・サンズ、ロイ・シャイダー

<ストーリー>

1953年ニューヨークで、害虫駆除として働く小説家志望の主人公のウィリアム・リーは、かつて麻薬中毒者だった。 妻は麻薬によって廃人の一歩手前になっている。 リーは、害虫駆除用に使ってる殺虫剤の減りが早いことに気づく。 減っていたのは、彼の妻が殺虫剤を麻薬として使い続け、廃人寸前にまでなっていた。 だが、リーは妻の状態を知ってもなにもできないでいた。 駆除薬と称して麻薬を密売している容疑によって警察署へ連行されてしまう。 取調室には、人間の言葉を話す巨大なゴキブリが! 上司だと名乗るそのゴキブリは、リーに命令をする。 リーは、そのゴキブリを殺して警察署から逃げだす。 麻薬中毒を抑える薬を、友人に紹介された医師からもらい、妻のジョーンに飲ませようとする。 妻に飲ます前に、自分で試してみようと飲んでみると、幻覚作用と強い中毒性のある薬だった。 リーは、誤って妻ジョーンのこめかみを撃って射殺してしまう。 薬に溺れていたリーは、インターゾーンと呼ばれる場所へ行き、現実と幻覚が入り混じったような悪夢のような体験をする事になる。

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登場人物
ビル・リー

害虫駆除業者。序盤でゴキブリ駆除中に駆除薬が切れて中断となったためオーナーにブチギレられた。10歳で作家を断念した過去を持つ。冒頭でハンクとマーティンの小説問答に対して「あらゆる理性的な思考を殺せ。」と回答した。過去に麻薬中毒者であった。害虫駆除薬で再び中毒症状に悩まされることになる。インターゾーンの世界ではゲイ&殺し屋とされている。現実では薬中の廃人として進行しており自分ではない何者かが「裸のランチ」という原稿を書き上げている。最終、警察の目の前で現実世界の妻を射殺した。

引用元:https://www.youtube.com/watch?v=7NhNeniXCM4

ジョーン・フロスト/ジョーン・リー

ビルの妻。ゴキブリ駆除薬の中毒者。家でビルの仕事道具であるゴキブリ駆除薬を右乳房に注射している。駆除薬でラリっている状況を”文学的ハイ”と例えた(ハンクとマーティンも試している)。序盤でビルのゴキブリ駆除薬が切れた原因である。作中ではゴキブリからは”インターゾーン商会の回し者”とされている。インターゾーンではトムの妻として現れた。正体はエリートのムカデとされている。いつもビルのウィリアム・テルごっこの的。

引用元:https://www.youtube.com/watch?v=I6uZ473s9Yg&t=2s

トム・フロスト

アメリカ人で作家。妻のジョーン・フロストがいて、いいアパートに住んでいる。ハフィドというゲイの用心棒を雇っている。趣味はインターゾーンの若い男を家に招いての乱交。タイプライターはマルティネリを使用している。腹話術が得意。ビルの妻殺しの事を知っている。1年がかりで妻を殺そうと思い呪術の使えるファデラを雇った。妻に対しては呪術で重病にするのが目的で、自身の与えた薬と麻薬で精神をゆっくり蝕もうとしている。他のタイプライターでアラブ製のムジャハディンを持っているがあまり使用していない。ファデラがムジャハディンをベランダから落として壊したが、そのまま逃走しクビにした。ビルにマルティネリを貸したが返ってこないためハフィドと一緒にビルの所へ向かったがマルティネリの壊れた残骸を発見し、代わりにクラーク・ノヴァを無理やり回収して帰っている。後日、ビルの訪問でマグライターとクラーク・ノヴァを交換してあげた。

引用元:https://www.youtube.com/watch?v=7NhNeniXCM4

イヴ・クローケ

ゲイ。スイス人。オールド・ヴァレイに邸宅がある。赤いオウムを飼っている。赤い車に乗っている。オリアリーのパーティでビルをゲイメンバーと一緒にいたのを目撃した事で彼をゲイと思っている。二日酔いのビルを浜辺で発見し、朝食に誘った。ビルの自身のゲイになった話とヴェントレ公爵&ボボの話を聞き興味を抱いたのか、自宅に呼んで酒を飲ませてヤろうとしたが断られた。ビルが二度目に任務で再会した際には一緒にいたキキを掘りたがっており、彼に強引なアプローチをして嫌がられていたが、ベンウェイ医師の事を聞き出され返答したためキキをやっと抱けた。その際に、デカいムカデ人間となりキキを籠の中で襲っている描写がある。

引用元:https://www.youtube.com/watch?v=I6uZ473s9Yg&t=2s

ベンウェイ医師

自称医者。医学部に籍を置いた形跡はない。ビルが同僚の害虫駆除薬を地下鉄で盗もうとして失敗したが、その同僚から紹介された開業医。ビルから除虫菊を辞める方法はないか問われ、ブラジルの水棲ムカデから精製した”黒い粉”を除虫菊に混ぜるように勧めた。黒幕でインターゾーン商会を運営している。組織の基盤はブラック・ミート麻薬である。ファデラに扮してインターゾーンに出入りしている。事業拡大のため今後はアネクシアにも展開していく予定であり、自分を追い詰めたビルに手を組まないか提案をした。

引用元:https://www.youtube.com/watch?v=I6uZ473s9Yg&t=2s

ファデラ

正体はベンウェイ医師。フロスト夫婦の家政婦として働いていた。ビルとジョーンが不倫しようとしている所を発見して止めた。トムの所持していたタイプライターのムジャハディンをベランダから落として壊したが、そのまま逃走しクビとなった。ビルの元妻ジョーンをビルと結婚するように工作した張本人。かつてベンウェイアネクシアの首相の主治医の時に、首相は女装した男を連れ歩くのを好んだためファデラの変装に行き着いたとされる。

引用元:https://www.youtube.com/watch?v=I6uZ473s9Yg&t=2s

ハンス

事業家と芸術擁護家。実際は麻薬を密造している。インド料理やでビルにタイプライターについて話しかけてきた。自身はクルップ製のタイプライターを使用している。ベンウェイ医師を知っており、ベンウェイ医師の治療薬である水棲ムカデから精製した”黒い粉”(ブラック・ミート)に興味を持っている。ビルを水棲ムカデ工場に招待して黒い粉を料理として出した。ジョーン・フロストから嫌われている。アメリカ人事情に詳しい。途中、マジューンという麻薬の密造をしているも賄賂を払わなかったため逮捕され強制送還されたことになっていた。自身の旧麻薬工場でベンウェイ医師の管理の元、マグワンプの麻薬漬けにされていた。

引用元:https://www.youtube.com/watch?v=E6HDMVyilAY

キキ

ゲイ。ハンスの知り合い。バーで飲んでいるビルにいきなり「あんたゲイ?」と質問した。ムカデのネックレスをしている。フロスト夫婦について詳しい。ビルの持っていたマルティネリの残骸を再びタイプライターに生成できる場所を案内してくれた。ビルの事を信頼している。最終、ビルよりベンウェイ医師の事をクローケより聞き出すダシに使われ、クローケから掘られた。

引用元:https://www.youtube.com/watch?v=I6uZ473s9Yg&t=2s

マグワンプ

人型はマグワンプ・ジッソンとされる。バーで両刀使いとしてキキより紹介された化け物。幻覚である。ビルに対しワタイプライターのクラーク・ノヴァ・ポータブルをインターゾーンからの報告書を作成するのに使えと薦めた。妻殺しの事を知っていて逃亡先としてインターゾーンの切符を渡した。途中、タイプライター(マグライター)としてマルティネリの残骸より生成された。タイプ中に気に入った文章であれば頭部の触手より2種類の麻薬の汁が出る。ビルに対してスパイ活動が順調にいけばCIAになれる風格があるとおだてた。ビルにはベンウェイに近づくためクローケを誘惑することを指示したが危険な任務であったため、帰宅したビルにクラーク・ノヴァとの交換材料とされた。

引用元:https://www.youtube.com/watch?v=I6uZ473s9Yg&t=2s

クラーク・ノヴァ

ビルとは警察署で一度ゴキブリの姿であっており上司であると語っている。タイプライターの姿で2回目以降は現れた。ビルに”スパイの最高の隠れみのはゲイになる事である”とタイプさせた。羽が開いた腹の部分が口の様になっており、そこから話す。トムにマルティネリの代わりに回収された後は拷問されており、マグライターと交換して戻ってきた際には足が1本しか使えない状態となっていた。最後はジョーンの居場所とインターゾーン商会に潜入する鍵の女ファデラの情報を話し息絶えた。最後の言葉「ヴァイア コン ディオス」。

引用元:https://www.youtube.com/watch?v=I6uZ473s9Yg&t=2s

【現実世界】

ハンク

ビルの友人。現実主義者。病気の母親がいる。アメリカが舞台の小説を書いている。見た事を書き留める事を小説に求め、他の呼んだ人間らが小説を再体験するという考えを持っている。書き直しは自分の考えを裏切り相手を騙すことになるという考え。なめらかでころがすような文章は嘘を付くようで嫌で罪悪であると考えている。害虫駆除薬が足りなくなって仕事にならないビルに対して官能小説を書いてみたらどうかと薦めた。その後、害虫駆除薬で中毒者になったビルの妻の事をあざ笑った。同じく害虫駆除剤中毒でインポ。ビルの妻とビル宅でイチャついていたがビルが帰宅したため萎えて帰っていった。後半、マーティンと一緒にビルと合流して「裸のランチ」を仕上げて出版社に提出するよう促した。

引用元:https://www.youtube.com/watch?v=4Yzy8VNehk8

マーティン

ビルの友人。完璧主義者。小説の言葉は何百回でも書き直す必要があるという考え。ハンクの言う書き直しは”罪悪”であるという言葉に対して”鍵”であり誤ちではないと答えた。小説の言葉に関してはベストで書いて全てをバランスをとるために全方位から考える事は悪でないと答えた。ハンクがビルに薦めた官能小説に関して詳しく、週120ドル金を稼げる仕事であり、その手の出版社を紹介できる人脈を持っている。害虫駆除薬で中毒者になったビルの妻の事をあざ笑った。その後、ビルの自宅でビルが妻を射殺した事を目撃している。質屋にいたビルに警察から妻殺しで追われていると報告した。後半、ハンクと一緒にビルと合流して「裸のランチ」を仕上げて出版社に提出するよう促した。

引用元:https://www.youtube.com/watch?v=E6HDMVyilAY

オブライエン

市の麻薬課の刑事。麻薬捜査のためビルを警察署に連行して取り調べを行った。ビルに対して、害虫駆除薬が本当に害虫(ゴキブリ)に効果があるのか検証するため、あらかじめ捕獲していたゴキブリを目の前で段ボールからとり取り出した。終盤にアネクシアの検問にも出演している。ビルがジョーンの脳天を銃でブチ抜いてから「ようこそアネクシアへ。」と案内している。

引用元:https://www.youtube.com/watch?v=E2GMgL66vfg&t=21s

 

【クローネンバーグ監督の過去作品を見る】

 

ザ・フライ>>


スキャナーズ >>

 



豆知識

”真実などない すべて許されている”

ハッサン・イ・サバ

”腕利きのハスラーにも当てることのできない内面の目印がある”

W・S・バロウズ

【害虫駆除薬について】

除虫菊

効果:ゴキブリはいちころ

フッ素

効果:ゴキブリは肥え太る

※作中でビルが使用した害虫駆除薬は除虫菊である。

カフカとは

フランツ・カフカの中編小説『変身』がある。カフカの代表作であり実存主義文学の一つとして知られ、また、アルベール・カミュの「ペスト」とともに代表的な不条理文学の一つとしても知られる。この「変身」における不条理は、主人公の男が、ある朝目覚めると巨大な虫になっていたことであり、男とその家族の顛末が描かれる。

 

インターゾーンとは

現実と幻覚の入り混じった世界。

インターゾーン商会とは

インターゾーン市にある北アフリカの悪名高き自由港である。西欧の下腹部に巣くった貪欲な寄生虫(人間)からなる。正に蛆虫(悪党)どもの天国とされている。

黒い粉

ブラジルの水棲ムカデから精製されている粉。駆除薬に混ぜると駆除薬への脳反応を封ずる働きがあり、駆除剤は中毒患者に効かなくなりやめる。尚、腐ったチーズの匂いがする。作中ではベンウェイ医師からビルが駆除薬と混ぜてもらった。

引用元:https://www.youtube.com/watch?v=I6uZ473s9Yg&t=2s

エトルリア語

イタリア半島 の先住民族、 エトルリア人 が使用していた 言語 。 先印欧語 の一つ。現在は 死語 となっている。エトルリア語のアルファベット( エトルリア文字 )は 西方ギリシア文字 から派生した表音文字で読み方は分かっている。ラテン語 の ラテン文字 を派生した。エトルリア語は、ほとんどの考古学資料が 碑文 のため、言語の詳細について研究が進んでいない。

カスバ

アフリカ北部のアラブ諸国に多く見られる,城塞に囲まれた居住区域。アルジェの東部地区が有名。

マジューン

大麻の樹脂とアーモンドを混ぜたジャムの麻薬。作中ではハンクが密造していたとされている。

【小説に盛り込まれる言葉】

「エトルリア語でいたずら書きする」

「信じられない時代錯誤な商人」

「まだ合成されていない麻薬常習者」

「第三次世界大戦の闇屋たち」

「超能力をもった収税官」

「精神の整骨医」

「チェス競技者が告発した規則違反の調査員」

「言語に絶する精神毀損を告発する」

「精神分裂の速記者の手になる」

「断片的な令状を執行する者たち」

「未完成の警察国家の官僚ども」

 

 

【ビルの小話】

1.ゲイの話

俺の家は代々呪われている。リー家にはいつも倒錯者がいた。体内のリンパ液も凍りつくような言語を絶する恐怖を絶対に忘れない。有害な言葉が俺の頭脳を麻痺させた時、そう おれはれっきとしたゲイだった。ボルチモアのクラブで見た化粧をした男を思い出した。俺は人間以下になり下がっていたのか。俺はめまいの中でふらふらと街を歩き自滅へと向かっていた。だがそこへ賢い老女王ボボが現われて俺に教えてくれた。すべてを見つめ誇りを持って生きろと。かわいそうにボボは事故死した。ヴェントレ公爵のイスパノに乗ったボボの垂れ下がった痔が飛び出し後輪に絡まりボボの体は吸い取られキリン革のシートには抜け殻だけが残された。目玉と脳みそもシューという音とともに跡形もなくなった。公爵はその音を一生忘れないだろう。

2.肛門で話せる男の話

腹を動かすと屁が言葉になると言うんだ。初めて聞く音だよ。気の抜けた澱んだ音だが臭いにおいもする。男はカーニバルで新発明の腹話術である その珍芸を披露した。しばらくすると屁は勝手に喋り出した。アドリブやらギャグまでこなすようになり鉤状の歯のような物が周りに生えてきて物を食べるようになった。最初はいけると舞台で見せた。だが穴はパンツを食べ街頭で口と同等の権利を主張しだす。酔っ払って騒ぐので皆に嫌われ始めた。口と同じようにキスを要求する。最後には昼も夜もわめき続け男の「黙れ」という声が町に響く。男は殴りつけたりロウソクを突っ込んだりした。そのあげく肛門は男に言った。”結局黙るのはあんたの方さ、もうあんたなんか必要ないのさ、俺は話も食事も糞もできるんだ”と。朝 男が目を覚ますと口の周りに蛙の卵のようなゼリー状の物がついてた。男はそれを拭ったが手にガソリンのゼリーのようにこびりつき体中に拡がった。ついには口が開けなくなった。目だけ残して頭全部がすっかり覆われてしまった。肛門は見る事ができないから目が必要。神経系統に障害が起こり組織が委縮し脳の指揮系統が機能を停止した。脳は頭蓋骨の中で身動きが取れず、密閉されたままだった。しばらくは眼の奥で脳がうごめくのが見えた。遂に臨終の時が来て目の光が消えた。カニの飛び出た目玉のようにうつろな瞳…。

 




恐怖度

☆☆★★★

<感想>

ビルの幻覚内ではあるが、クローネンバーグの造形したクリーチャーがキモい。